「旅の文化賞」に中谷健太郎氏 旅の文化研究所、第25回旅の文化研究フォーラム開催


中谷健太郎氏

 旅の文化研究所(神崎宣武所長)は7日、旅の文化の質的向上を目的にした「第25回旅の文化研究フォーラム」を東京都港区のシェラトン都ホテル東京で開催した。「旅の文化賞」の顕彰や「公募研究プロジェクト」の研究発表などが行われた。旅の文化賞は、亀の井別荘(大分県由布院温泉)の元取締役社長である中谷健太郎氏が受賞した。一般観覧者ら約60人が参加した。

 フォーラムでは冒頭、同研究所の神崎所長が「歴史にはさまざまな旅人がおり、その中から和歌が生まれるなどしている。諸外国では、移動生活や難民も研究テーマとなっている。生活の中で楽しむだけの旅でなく、人間の本性としての旅を追求していきたい」とあいさつした。

 旅の文化賞は「旅の文化」に貢献した活動から、独創的な体験を広く社会に紹介するほか、諸活動を通じて旅の文化の質的向上に貢献した人や団体を顕彰。受賞した中谷氏は、1971年に「由布院 玉の湯」の溝口薫平氏らとともに、ドイツの観光や温泉保養地を私費で視察してまちづくりを学んだ後、新たな温泉文化とツーリズムを提唱。ひなびた温泉地だった由布院を、地域にある自然・文化資源を生かしながら活性化し、日本屈指の温泉リゾート地に育て上げた。旅館だけでなく、周辺の商店や農家、交通機関など地域全体の連携を図り、地に足を付けた発想と時に大胆とも思える試みが旧来の旅の在り方を一新し、観光文化を大きく発展させたとして高く評価された。中谷氏は「多くの人と腕を組み、まちづくりに取り組んできたことが評価された。現在、由布院の100年を編集する編集サロンを作っている。これまでの50年の過去を紡ぎながら、これからの50年の新しいまちづくりの計画を作っていきたい」と受賞の喜びと今後の抱負を述べた。

 このほか、石森秀三氏(北海道博物館館長、旅の文化研究所運営評議委員)、後藤伸一氏(KNT―CTホールディングス地域交流部)、中井徳太郎氏(環境省総合環境政策統括官)、山本志乃氏(旅の文化研究所研究主幹)による「環境と観光」をテーマにしたパネルディスカッション、公募研究プロジェクトの研究発表と来年のプロジェクト採択者5人の紹介が行われた。パネルディスカッションでは、環境、経済、社会の統合的向上を具体的に実現するためには、経済社会システム、ライフスタイル、技術などあらゆる観点からのイノベーションション創出や経済、社会的課題の同時解決への取り組み、各地域が地域資源などを補完し支え合う「地域循環共生圏」の創造、幅広い関係者とのパートナーシップの充実、強化が必要だと提言した。

 旅の文化研究所は、近鉄グループホールディングス東京支社が運営する文化事業で、旅の文化をさまざまな観点から調査、研究し、その質的向上を図ることを目的に活動している。大学院への研究助成も行っている。


中谷健太郎氏

 
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